2012年4月9日月曜日

テスター - Security Akademeia


目次 †

テスター †

  • 例えばコンセントの電圧を測定中に、テスターのテスト棒をショート(短絡)してしまうと、負荷がなくなり大きな電流が流れてしまう。
    • ブレーカーが落ちて停電するが、テスト棒が焦げて感電すると危険である。
  • テスト棒の他に、ワニ口クリップやミノムシクリップの付いたアダプタがあると便利である。
    • これは006P型の乾電池や自動車のバッテリーの電圧を測るときなどに端子を挟み込むことができる。
  • テスターの交流電流や交流電圧の表示は実効値である。
  • コネクタの測定はテストピンの接触(ショート)に注意。
    • D-sub 25ピンや9ピンなどのコネクタは、ピンの間隔がやや大きいので、気を付ければテストピンを当てられる。
    • USBコネクタはテストピンを差し込むと先端をショートしてしまう可能性があるので、機器側の基盤上で測定した方が楽である。
      • パソコン側の1番ピン(VBUS)と4番ピン(GND)の電圧だけが使われる。
  • 抵抗器の抵抗値を測るときに指でテストピンをつまんでしまうと、人体の抵抗値によって正しく測定できなくなる。
    • 人体の抵抗が並列接続したことになってしまう。

テスターの種類 †

  • アナログテスター
  • デジタルテスター

アナログ式テスター †

  • アナログ式テスターは本体の半分くらいの大きさのアナログメーターが付いている。
    • 下半分には大形のロータリースイッチがあり、多くのファンクション(測定機能)とそれぞれのレンジ(測定範囲)が設定できる。
  • アナログ式テスターは電流のレンジがいくつかある。
    • 例えば、電流のレンジをDCmA(ミリアンペア)にセットして電圧を測ってしまうと、テスターに内蔵されているヒューズを飛ばしてしまうことがある。
    • もしヒューズの線が切れていたら、管に刻印されているアンペア値と同じ新しいヒューズと交換する。
  • アナログ型テスターは反応が速い。
  • 電圧や電流自体が変動している場合は、揺れている指針の大まかな位置で、値が読み取れる。
  • テスト棒は赤がプラス、黒がマイナスの端子に当てるようになっている。
    • これを逆にすると、メーターが定位置よりも左に振りきれて、故障する恐れがある。
    • デジタル式テスターの場合はテスト棒のプラスとマイナスを逆にしても、表示部にマイナスのマークが現れ、故障することはない。
  • 導通テストブザーがないアナログ式テスターの場合、メーターの位置で導通を調べる。
    • 指針が触れないならば、導通してしないことを意味する。
    • 指針が触れてほぼ0Ωのところを指せば、導通していることを意味する。

デジタル式テスター †

  • デジタル式テスターには電流の測定ができないタイプが多い。
  • デジタル式テスターに限らず、小型や薄型のテスターの多くは内蔵の電池がボタン電池である。電池を交換する際には小さなプラスネジを回す必要がある。
  • 内蔵電池の消耗はデジタル表示部のマークが点灯することがでわかる。

テスターの各部名称 †

アナログ式テスター †

  1. 指示計目盛板、指示計指針
  2. 零オーム調整器
  3. 測定端子−
  4. 測定端子+
  5. レンジ切替スイッチ
  6. 指示計零位調節器
  7. 導通表示用LED

アナログ式テスターの測定レンジ部 †

項目 †

 選べる測定項目はいくつかに区分されており、例えば次に示すものが挙げられる。

DCV直流電圧V
DCmA直流電流mA
ACV交流電圧V
Ω抵抗Ω

アナログ式テスターの表示部 †

  • 測定値はロータリースイッチで設定したレンジに応じた目盛りを読む必要がある。
  • 目盛りの最大値(フルレンジ)の数字は、ロータリースイッチの刻印数字と一致していないものもある。
  • アナログ式テスターは目盛りを細かく付ける必要があるため、メーターの表示部が大きく、結果としてテスター全体の寸法も大きい。

テスターのしくみ †

 テスターの内部にはメーターとスイッチ、そして抵抗器がある。

 メーターは大まかにコイルと永久磁石の組み合わせでできている。コイルに電流が流れ、永久磁石とコイルが反発することによって指針が動く。流れる電流、電圧が多ければその分反発力は強くなる。

 レンジ切替スイッチの周辺には抵抗器が多くつながれている。なぜかというと測定端子から流れてきた電流を抵抗器によって弱めることにより高い電流・電圧が測定されようとしてもひとつのメーターで測定できるようにするためである。

 抵抗の測定のときは電流・電圧が測定するものの電流・電圧を使いメーターを動かすのに対し、テスターに内蔵されている電池からの電圧・電流によってメーターを動かす。

テスターを使う前に †

 テスターを使う前には次の準備をします。これらの準備はどんな測定にも共通する。

  • 平らなところに置いて作業する。
  • 黒いプローブ(リード)はマイナス、赤いプローブ(リード)をプラスに接続する。
  • 抵抗(Ω)レンジ測定の前には、必ず0Ω調整をする。
  • 指示計零位調節器を使い、零調節をする。
    • どちらも正しく行なっていないと、測定値の誤差が大きくなる原因になる。

零位調整 †

  • テスターがOFFの状態で、零位調整器のネジを回して、メーター指針を目盛りの左端の0位置に合わせる。
  • プラスチック製の零位調整器のネジは、破損しないようにゆっくり回す。

0Ω(零オーム)調整 †

  • アナログテスターの場合の準備。
  • アナログ式テスターで抵抗を測るときには、測定レンジを抵抗にセットしてからテストピン同士を当ててショートする。これは抵抗が0Ωなので、零オーム調整ツマミをゆっくり回して、指針が0Ωを差すようにセットする。
  • アナログ式テスターでは、抵抗のレンジが×1、×10、×1kΩ、×10kΩなど複数ある。1つのレンジで零オーム調整を行ってみると、次の別のレンジに移ったときに、0Ωの指示がわずかにずれている場合がある。
    • よって、零オーム調整は、レンジが変わる度に行う必要がある。
  • 指針のずれは内蔵電池の消耗度に依存するため、長時間使っていない場合は念のために零オーム調整をしたほうがよい。
  • 零オーム調整ツマミを回しても指針が0Ωを指さないことがある。
    • ほとんどの場合その原因は、テスター内蔵の電池が切れたことを意味している。

1:レンジ選択スイッチで抵抗レンジにセットする。

2:2つのプローブをショートさせて、0Ω調整を行い(ダイヤルを回したりして)、ポインター(メモリを指す針の先)が右側の「0」を指すように設定する。

3:もし、それができなければ新しいバッテリーと交換してから行う。

テスターを置く場所 †

・使用場所の温度は、5〜30度の範囲内であれば誤差は非常に小さいので、それほど気にすることはない。しかし、直射日光の場所はよくないし、温度上昇テストなどに使うときはテスターは温度の高くならないところにおく。

・湿度の高いところもよくないので、測定するものが湿度の高いところにある場合は、テスターを離して置く。特に、高温で高湿はテスターに大敵である。


フェンス鋼は、ポストする方法

・パワートランス、パワートランスを使ったラジオ、モーターなどをテストするとき、トランスにテスターを近づけると、誤差が出るだけでなく、感度が悪くなる(なりっぱなし)ことがある。また、磁石を近づけても同じようになるので注意。

・テスターの使用位置は、水平。メーターがそのようになっているので、垂直にすると指示誤差が現れる。ただし、20度ぐらいであれば誤差がほとんどでないので、読み取れないときは少し傾斜させてもさしつかえない。

 電圧が出ているかどうか、またはトランスのコイルが断線しているかどうか(指針が動くかどうか)というテストは垂直に置いてもよい。

テスターで測れるもの †

 最低限の機能を持つアナログテスターであっても、次の3種類は最低限測定することができる。ただし、電圧と電流の値は交流・直流によって異なることに注意。

  • 電圧
    • 電気を流す強さ。単位はボルト(V)。
  • 電流
    • 電気が流れる量。単位はアンペア(A)。
  • 抵抗
    • 電気の流れづらさの値。単位はオーム(Ω)。

テスターの付加機能 †

  • 導通チェック
    • 導通すると「ピーピー」の音が鳴ったり、導通表示用LEDが光ったりする。
  • ダイオード特性確認
    • アノードとカソード間の電圧降下を確認できる。
  • コンデンサー容量チェック
    • デジタルテスターの一部ではこの機能が付いている。

各レンジ †

 中央にダイアルが付いています。大概のテスターにはこのように切り替え用のダイアルが付いている。

 何を切り替えるのかというと、「電流」「電圧」「抵抗」等の測定項目に合わせダイアルを切り替えるのである。「電圧」を測定したければ「電圧」のゲージにダイアルを合わせる。ダイアルには「A」「V」「Ω」などが書いてあるはずだ。

各レンジ †

 中央にダイアルが付いている。大概のテスターにはこのように切り替え用のダイアルが付いているはずだ。

 何を切り替えるのかというと、「電流」「電圧」「抵抗」などの測定項目に合わせダイアルを切り替えることになる。「電圧」を測定したければ「電圧」のゲージにダイアルを合わせるのである。ダイアルには「A」「V」「Ω」などが書いてあるはずだ。

  • AC電圧 [V]レンジ
  • DC電圧 [V]レンジ
    • 電圧・電位差・断線・アースの良否・乾電池の消耗などがわかる。
    • 車関係で使う人はここを使う。
  • 抵抗値 [Ω]レンジ
    • センサーや抵抗器の値など調べることができる。
    • 導通・ショート・断線等などわかる。
  • 電流 [A]レンジ
    • 消費電流等を調べることができる。

 デジタルテスターの場合、オートレンジ検出機能がついていることがある。オートレンジ検出機能付きのものならば、測定レンジを切り替える必要がある。測定する電圧より高い電圧のレンジを選択すればよい。

 マニュアルレンジ式のデジタルテスターの場合、レンジに対して入力が小さすぎるとゼロを表示したり、最下位の桁が点滅したりしてしまう。逆に大きすぎると、「OF」「OL」あるいは最上位(左端)にのみ「1」と表示される。これをオーバー表示という。

基本的な使い方 †

導通の検査 †

  • ファンクションスイッチを導通検査に合わせて、ブザー音がなるように設定する(ブザー音を長押しなど)。
  • 黒のテストピンを一方の端子へ、赤を他方の端子に接続して、ブザーが鳴れば導通していることがわかる。
  • ただし、回路の導通を検査する場合には、測定している回路の抵抗が約50Ω以下のときにブザーがなるので注意が必要である。

直流電圧(DC-V)の測定 †

1:レンジを直流電圧(DC-V)にする。

2:レンジを一番大きいレンジにする。

3:測定するものに対し、並列に接触させる。

4:レンジを徐々に下げ、最も指針の振れの大きいレンジを選び、測定する。

5:黒のV.mA目盛りの電流を読み取る。

交流電圧(AC-V)の測定 †

 直流電圧と同じ方法で測定する。ただし使用するレンジはAC-Vを使う。

直流電流(DC-A)の測定 †

 AC/DC電圧が存在する回路の電流は絶対に測定しないこと。AC電流の測定はできない。

1:レンジ選択スイッチをDCmAにセットする。

2:電流が分からない場合は、常に電流レンジ250mAを選択して、必要に応じて低い測定レンジに切り替える。測定レンジを変更する前に、測定回路からテストリードを抜いておくこと。

3:測定回路に直列に接続して、測定を行う。

4:黒のV.mA目盛りの電流を読み取る。

デシベルの測定 †

 入力ソケットには250V以上のAC/DC電圧を加えないこと、1000VレンジのdBは絶対に測定しないこと(M1015Bポケットマルチメーターの場合)。これらの臨界値を超えると、計器を破損したり、怪我を招く恐れがある。

1:選択スイッチをACVのどれかにセットする。

2:ACレンジ10Vの際には、赤のdB目盛りのdBを直接読む。50Vまたは250Vレンジの際には、読み取り値を次の表から計算する。

dBレンジ-20〜22-6〜368〜50
ACVレンジ10V50V250V
追加値01428

 確実なdB測定を行うには、回路インピーダンスが600Ωでなければならない。600Ω負荷においては0dB=1mWである。

3:直流電圧成分がある信号には、耐性400V以上の0.1μFの容量を持つコンデンサを、テストプローブとテストする回路の間に挿入する。

バッテリーチェック、通電チェック †

 M1015Bポケットマルチメーターの場合は次のようにする。

1:BATポジションのどれかに選択スイッチをセットする。

2:赤のプローブをバッテリーのプラス、黒をマイナスに接続する。

3:GOOD/BAD(緑と赤)の目盛りを読む。

 SK-6511デジタルマルチメーターの場合は次のようにする。

1:通電/ダイオードマークにダイヤルを合わせる。

2:通電していれば、ピーとブザーが鳴る(厳密に言えば、1.5〜15kΩ)。

あらゆるテスターの使い方 †

導通テスト †

 電線が切れていないかどうか、即ち電気をかけたとき通るかどうかを調べるのを導通テストという。これは乾電池とブザーを使うのが一番簡単である。DMMでは、ファンクションスイッチに電子音のマーク(音符)があれば、導通テストができる証拠である。

 デジタルテスターをこのレンジに合わせて、テストするモノの端子にテスト棒を当てる。導通してあれば(断線してなければ)、電子ブザーが鳴る。ケーブルの端子とリードの接続試験などに便利である。

 機種にもよるが、抵抗値で数百Ω以下でないと鳴らないので、絶縁の劣化の確認は抵抗のファンクションで行う。

電池が持つ電圧を測定する †

 レンジを直流電圧2.5Vにすることのよって普通の電池の電圧が確認できます。普通、新品の電池は1.5V以上の電圧を示す。

 箱型電池であるOO6P電池の場合はレンジを直流電圧10Vの状態で測定します。これは006P電池の定格電圧が9Vであるからである。

例1:1.5Vの電池の電圧を確かめる。黒のプローブを電池のマイナス部分、白のプローブをプラス部分に繋げる。

目盛り拡大図

 レンジはDCVの2.5に合わせてあるので、上の目盛りから1.3Vだと判明する。

 「V.mA」のMAXが2.5を意味するので、5分割の太い目盛りを読めば、1V〜1.5Vの間ということがわかる。あとは2目盛りごとに0.1V(即ち、1目盛りごとに0.05V)なので、後は簡単な掛け算や足し算なので、計算できるはずだ。


どのくらい私たちは発泡スチロールのリサイクルません

 実際にデジタルテスター(オートレンジ検出機能有り)で計測すると、1.278Vと表示され、アナログテスターで実験した結果とかなり近い値だったことがわかる。

乾電池の寿命を調べる †

 乾電池と抵抗器を並列に繋いで、電圧を測る。ただし、この抵抗器を内蔵しているテスターは指定のレンジにして測ればよい。

 そうすると、寿命のない乾電池は電圧がガクンと低くなるが、新品(良品)は少し低くなるだけだ。そして、並列に繋ぐ抵抗が低い(電流が大きい)ほど良否がはっきりするが、必要以上に電流を流すと電圧測定(テスト)のため乾電池の寿命を縮めてしまうので、あまり低いものはいけない。適している値は、その乾電池を使う状態(ラジオ、電子機器など)か、その1.5倍ぐらいの電流が流れる値だが、電流が不明な場合は次の表を参考にすること。

乾電池の種類接続する抵抗器(Ω)
単1号型5〜10
単2号型10〜20
単3号型30〜50
単5号型50〜100
006P型500〜1k
4AA型180〜300

 何Vまで良品とするかは、乾電池を使う機器の種類で決まる。例えば、測定器などで定電圧回路(電圧を一定にする仕組み)が付いていないものは、乾電池当たり1.3Vぐらいであるが、音声が出ればよいという程度の小型ラジオは0.8Vでも使える。

  • デジタルマルチメーターで1.5Vの電池の寿命を検査するには、まずファンクションスイッチを電池のマークにセットする。次に電池のプラス極を赤のテストピン、マイナス極を黒のテストピンで接続する。
    • 電圧が表示されるので、ファンクションスイッチがVのときと同じだが、電池の消耗度合いによっては値が異なる。これはVのときには単に電池の端子電圧を測定しており、電池用のファンクションでは電池に負荷抵抗をかけて測るために、テスター内部にある抵抗器が使われているためである。
    • 9Vの006P型乾電池もデジタルマルチメーターで測れるが、内部の負荷抵抗が1.5V用のため、9Vの電池では測定値がやや不正確の可能性がある。
  • テスターで乾電池の電圧を測ることができるが、直流電圧のファンクションでマンガン電池やアルカリ電池の寿命を調べるためには、電池に負荷抵抗をかけて測る必要がある。
  • マンガン電池やアルカリ電池は、使用した時間と電池の電圧の間には放電カーブの関係を持つ。
    • 電池チェッカーは内部の負荷抵抗を繋いだ時の電圧値を表示して、放電カーブの電圧値から消耗の度合いを予想しているのである。
  • ニカド電池の放電カーブは、長時間電圧が一定して、あるとき突然電圧降下が始まる。
    • マンガン電池の内部抵抗は時間と共に大きくなるが、ニカド電池ではほとんど変わらず小さい値が続くので、大きい電流が得られるわけである。
    • ニカド電池の放電カーブはこのように特徴的であるため、ニカド電池はマンガン電池のように、負荷抵抗を付けてテスターで測定した電圧値から、電池の寿命が尽きそうなのかを予測することができない。

コンセントに供給されている電圧を測定する †

 この実験をする場合、測定端子に触らないように実験すること。また、交流はプラスマイナス関係ないので、どちらに指しても構わない。

 レンジを交流電圧250Vにし、コンセントに測定端子を差し込むことにより、コンセントに供給されている電圧を測定することができる。普通、コンセントに供給されている電圧は100Vだが、100Vちょうどではない場合がある。このような状況を想定し、家電製品は大体90〜110Vまでの電圧供給に対応している。

体内の抵抗を測定する †

  • 人体は水分を含んでいるので電流が流れる。
  • テストピンを左右の指でつまんで人体の抵抗値を測ることができる。
    • テスターで抵抗を測るときには、テスト棒に1V以下の電圧がかかっている。
      • 1.5Vの乾電池を親指と人差し指で挟んだ時よりも小さい電圧なので、感電することはない。
    • 個人差はあるが、数百Ω〜数MΩの範囲に入る値になる。
      • 風呂上がりに測ると、指先が乾いているときに測った値よりも小さくなる。
  • 家庭用の体脂肪率計は、体内に微弱な電流を流して体の電気抵抗を測定している。
    • 体脂肪率とは体重に占める脂肪の重さの割合である。
    • 脂肪は水分を含まず電気を通さないので、その量の違いによって体の電気抵抗が異なるのである。

 レンジを抵抗の中で一番高いレンジにし、測定端子をそれぞれ右手、左手で握ると、微妙に指針が振れるはずだ。これは人間が完全な不導体ではないからでである。人それぞれに抵抗値が違う。

例1:アナログテスターでは微妙に針が動くが、値までは判別できないので、デジタルテスターでチェックしてみた。その結果、1,300〜1,900KΩであった。一定に落ち着かないのは、人間が常に不安定であることを意味している。

例2:体の抵抗が50kΩの人が、家庭に来ている電気100Vに触れてしまうと、100÷50,000=0.002Aの電流が流れることになる。普通に触れればビリビリするだけだが、体が濡れた状態で触れると命にかかわりる。

ダイオードテスト †

  • ファンクションスイッチをダイオード検査に合わせる。
  • 測定は黒のテストピンをカソードマークが付いている側、赤をアノードに接続して、順方向電圧を確認する。
  • 次にテストピンを入れ替えて、電流が流れないこと、即ちテストピンを接続しない場合と同じ表示であることを確認する。

1:パワーファンクションスイッチを通電/ダイオードマークにあわせる。

2:回路内のダイオードは回路の電源を切り、コンデンサーを放電させてから回路から外す。

3:黒色プローブをダイオードのアノード側、赤色プローブをカソード側に接続する(逆方向接続)。

 LCDの表示がダイオードを接続する前と同じであること(1200〜1800)を確認する。

4:ステップ3と逆に接続する(順方向接続)。

 LCDの表示がステップ3の時と比べて、半分くらいの値であれば、そのダイオードは正常であると判断できる。

内蔵電池の極性 †

 単に抵抗を測るだけなら、内臓電池の電圧や極性について知らなくてもよいのだが、半導体素子(ダイオード・トランジスタなど)のテスト、それらが接続してある回路の抵抗を測るときは、それらについて知らないと無理である。抵抗測定やダイオードチェックのとき、DMMに内蔵してある乾電池から電流を流す。このとき、テストリードの+(赤)側に乾電池の+側が出る。これは従来のアナログ式テスターとは逆なので、注意すること。

例:まずDMMを2台用意します。同じ機種でなくても構わない。

 互いに相手の性能を測定してみることにする。

 一方のDMMは抵抗レンジに合わせる。もう一方のDMMは直流電圧(DVC)レンジに合わせる。テストリードは同じ色同士を繋げる。

 すると、前者のDMMは相手の直流電圧レンジの入力抵抗を測定する。後者のDMMは相手の抵抗レンジの内部電池極性と端子間電圧を測定する。DMMがオートレンジだと、状態が頻繁に変わるはずだ。そのようなときは、レンジホールド機能を働かせるか、マニュアルレンジの方が安定に表示する。

懐中電灯の電流を測る †

 電圧測定や抵抗の測定で、特にマニュアルレンジのとき、表示器にできるだけ多くの桁を表示させるように言及した。しかし、懐中電灯の電流を測るような実験では、表示される有効な数値の桁数が少なくてもいいから、内部抵抗が0.1Ω程度以上のレンジのあるデジタルテスターで測る。


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 普通、10A程度以上のあるデジタルテスターでないと、内部抵抗は0.1Ω程度にならない。そのレンジで、しかもこの程度の小さな電流だと、2桁しか表示しない。それでも、内部抵抗が5Ω程度で4桁表示するレンジのDMMより、本当に近い電流値を表示する。

交流電流の測定 †

 交流電流を測るときは、DMMのファンクションスイッチをACAに合わせる。交流電流の測定は、直流電流の測定と同じように、回路の一部に電流形を接続して測る。

 テスト棒は赤(+)と黒(−)であるが、交流測定はどちらでも同じである。ただし、回路の−側が共通線(アース線)側に接続してあるときは電流形を共通線側に接続する。レンジ切り替え時の注意も直流の場合と同じである。

 上の図を見て欲しい。A、B、Cの3箇所に接続するパターンが考えられるが、A点は好ましくない。B点またはC点に繋げるのがよい。理由はホットとコールドに関係する。

交流電圧の測定 †

 テスターに使うメーターは、電流の平均値に比例して指針が動くので、交流電圧計にしたときは正弦波の平均値を基にして目盛ってある。ところが、波形が変わると、平均値が変わってくる。例えば、三角波は非常に高くても低い目盛りを指し、方形波は高い目盛りを指す。よって、正弦波以外の交流電圧を測るときは、誤差があることを知っておく必要がある。

 周波数が非常に低い場合、非常に高い場合も測定がうまくできない。例えば、10Hzなら、1秒間に10サイクルだけなので、指針が振動して読み取りが困難になる。数Hzではまったく測定できないという状態だ。

 また、周波数が高すぎると、ダイオードの整流能率が悪くなったり、ロータリースイッチや端子間などの静電容量(コンデンサーと同じ)の影響で、本当の目盛りより低い目盛りを指示する。それを防ぐために、現在のテスターはゲルマニウムダイオードか、シリコンダイオード(昔は亜酸化銅整流器)を使っているが、それでも限界がある。

 したがって、実用品のテスターでは50Hz〜5kHz、高級品では20Hz〜20kHzがおおよその限界である。

 なお、高周波プローブを使うと、高周波電圧の測定が可能だが、テスターの仕様が数10kHzまでなので、市販品はないようです。必要なときは、自作するか、測定器用の高周波プローブを使うことになる。

電圧降下法による電流の測定 †

 普通は小型のDMMには電流の測定機能がないことがある。しかし、ちょっと電流を測りたいという場合もあるだろう。そんなとき、ファンクションにないからといって、諦めるのは早すぎる。

 抵抗が1Ωであったとする。DMMのレンジが200mVであれば200mAまでの電流の代用となる。ただし、この抵抗誤差が読み取って換算した電流値の誤差に重なるので誤差の少ない物を選ぶ。

 電流の測定のために降下した電圧も一緒に読み取れるので、電流を測ったために生じる影響がどの程度あるかの検討もできる。このときの抵抗の最大消費電流は次のように計算できる。

(電力)
=(電圧)×(電流)
=0.2[V]×0.2[A]
=0.04[W]

 よって、1/4W型で十分である。

可変抵抗(ボリューム)の簡易テスト †

 古いラジオの音量をツマミを回して変えると、ガリガリと大きな雑音がして、不愉快な思いをする。音量を調整する可変抵抗(ボリューム)の接触がよくないことが原因で、雑音としてラジオから聞こえてくるからである。

 可変抵抗の構造は、一面にカーボン(炭素)が薄く張ってあって、その表面を金属製の接点がこすりながら回転する。構造から接触不良が起こしやすいのである。

 ボリュームには3つの端子がある。左右どちらかの端子と中央の端子にテストリード線(赤、黒どちらでもよい)をあてて、ツマミをゆっくり回す。そのとき、テスターのメーターの針がゆっくりと抵抗値の大きい目盛りから小さい目盛りへ、またその逆へ、滑らかに振れれば良品と判断できる。

 新しい可変抵抗ならほとんど不良品はないと思うが、電子工作のとき半田ごてであまり熱を加えすぎると、その熱で不良品になるケースがよくある。

コイルの簡易テスト †

テスター利用によるコイルやトランスの簡易テスト †

 コイルやトランスの単純なトラブルは、大抵トランス内部のコイルが切れていることが原因である。これなら、テスターで導通試験をすれば、容易に良否の判定ができる。

手動によるコイルやトランスの簡易テスト †

 コイルやトランスは、断線のような単純な故障だけではない。例えば、内部のコイルが切れかかっている場合は、良否を判定することがかなり難しくなる。テスターで導通試験しても電流は流れるので、良否の判定が難しいわけである。これをそのまま見落として使っていると、接触抵抗のためトランスが熱くなり、火を吹いて火事になってしまうこともある。

 導通試験中に、コイルやトランスを押したり引いたりして振動させてみて、メーターの針がピクピク動くことから、コイルが切れかかっていることを発見できる場合もある。

デジタルテスター利用による高周波コイルの簡易テスト †

 同調コイル(バーアンテナ)や高周波チョークコイルは、抵抗のファンクションで調べる。とはいえ抵抗を測るわけではなく、電線が切れていないことを確認するわけである。

 デジタルテスターを最低抵抗レンジ(一番低い抵抗が測れるところ)にして、テスト棒をテストするコイルの端子かリード線に当てる。コイルが切れていなければ低い抵抗値を表示する。

 独立したコイルが2つ以上巻いてあるものは最高抵抗レンジにして、両方のコイルの一旦にテスト棒を当てて、巻き線間の絶縁も調べる。ただし、デジタルテスターで絶縁が悪いということはめったにわかることではない。

デジタルテスター利用による低周波トランスの簡易テスト †

 高周波コイルと同じように、コイルの導通を調べる。低周波トランスは品種によって巻き線の太さと巻き数が違うので、コイルの抵抗は1Ωくらいから2kΩくらいまである。トランスの説明書に直流抵抗値の記載があれば比較する。誤差は5%以内のはずである。

 絶縁テストは、コイル間だけでなくコイルとコア(鉄心)との間もやるが、特に悪いものはめったにないはずである。

コンデンサの簡易テスト †

アナログテスタ利用によるコンデンサの良否テスト †

 レンジを抵抗側にセットする。

 コンデンサは抵抗器のように導通(電流が流れること)があってよくない。しかし、容量の大きいコンデンサだと、電気を貯める間の少しの時間だけ導通がある。

・セラミックコンデンサなど0.1μF以下の小さな容量のコンデンサは、ほとんど電流は流れない。よって、テストリード棒を両端にあててみても、メーターの針はほとんど振れない。もし、針が振れっぱなしになれば不良品と判断できる。

・10μFや100μFのように容量の大きいコンデンサにテストリード棒をあてると、瞬間に充電電流が流れるので、テスタのメーターが一瞬振れて元へ戻る。次にコンデンサをひっくり返して、もう一度テストリード棒をあてると、前に充電した電気を放電して、さらに反対の極性に充電する。なので、メーターの針の振れは、先ほどの2倍になる。このようにして100kΩ〜無限大の抵抗値を示す点まで針が戻れば、良品と判断できる。

デジタルテスター利用による電解・タンタルコンデンサの簡易テスト †

 電解・タンタルコンデンサの簡易テストも、デジタルテスターの抵抗レンジで行う。+(赤)側のテスト棒からプラスの電圧が出るので、電界・タンタルコンデンサをテストするときはコンデンサの極性表示に合わせて当てる。

 電解コンデンサの構造上、もれ電流が基準となる。標準値は1μF、1Vあたり0.0003μAから0.002μAである。これは電解液(ペースト状)が入れてあるので、もれ電流が流れるのである。そして、電極(アルミニウム)板の純度や製造過程によっても違うので、漏れ電流の範囲は広いといえる。


 このため、その電解コンデンサの最高抵抗値に達するまでかなり時間がかかる。測定しにくいが、容量に対応した基準値またはそのデジタルテスターの最高抵抗値の近くまで戻ればよしとする。

 タンタルコンデンサは極性のあることで電解コンデンサに似てるが、充電後にデジタルテスターの抵抗レンジでオーバー表示するほどもれ電流の少ない品種である。

スピーカーのテスト †

 デジタルテスターのファンクションを抵抗レンジに合わせて、2つの端子に極性関係なくテスト棒を当てればよい。電磁石のコイルが切れていなければ、低い抵抗値を表示し、スピーカーから「ガリガリ」という音が出る。

 そして、コイルとスピーカーの枠の絶縁テストもすれば完璧である。

レシーバーのテスト †

 レシーバーは、仕組みの違いによってクリスタル型と電磁型がある。

 レシーバー(イヤホン)には、大抵プラグがついているので、プラグにテスト棒を当てて抵抗レンジで調べる。電磁型は切れていなければ、導通があって「カリッ」という音が出るが、クリスタル形は音だけである。

クリスタル型レシーバーのテスト †

 クリスタル型はテスターの切替レンジを1Mにして抵抗値を測っても、針はほとんど振れない。そのときにクリック音(「カリカリ」という音)が出れば良品と判断できる。

 また、クリスタル型のレシーバーの両端子に400kΩ〜600kΩの抵抗器を繋ぎ、それぞれにテスターのテスト棒を接触させる。そうするとクリック音がはっきり出るはずだ。

電磁型レシーバーのテスト †

 テスターの切替レンジを10kにして測る。普通に電磁型レシーバーの端子にそれぞれリード棒をあてると、メーターの針が大きく振れ、さらにクリック音が出れば、まず良品とみてもさしつかえない。

スイッチ類のテスト †

 スイッチ(電気スイッチ)は、抵抗測定のレンジにして、テスト棒を端子にあてて、スイッチの接点を閉じたり開いたりする。接点が閉じたとき、抵抗値がゼロまたはテスト棒をショートしたときの値になり、開いたときDMMのオーバー表示になればよしとする。

 大電流を流すスイッチは、接触が悪いと電圧が落ちるので、接触の様子も調べる。これは実際に電流を流して端子間の電圧を測り、その電圧降下が許容されるか、または接触点(スイッチ)の抵抗を計算し、接触抵抗が規格より低いことを確認する。

リレーのテスト †

電磁リレーのテスト †

 定格電圧をかけて接極子がカチンと動く様子と、接点が接触または解放する様子をデジタルテスターの抵抗レンジで確かめる。接点の数が少ないものは、接点端子をテスト棒をクリップで接続して、接触の様子を見る(スイッチのテストと同じ)。接点の数が多いものは、テスト棒を次々に当てて確かめる。

 電流と抵抗で動作の定格にしているリレーは、電流を調整して規定の電流で確実に動作することを確かめる。大抵規定の80%ぐらいの電流で動作するはずである。

 なお、電流を小さな値から徐々に大きくしていくと、ある電流で動作する。この電流を感動電流という。また、逆に小さくすると開放するが、この電流を開放電流という。リレーを使う回路(タイマーなど)の設計は、感動電流と開放電流が基になるので、各電流も調べておこう。

トランジスタのテスト †

 トランジスタの原理を覚えるとき、あるいは自分で納得できるように回路を組むときなどはトランジスタのhFEを知る必要がある。hFEはコレクタ電流とベース電流との比、即ちベース電流が何倍になってコレクタに現れるかという数値である。

 正式なhFEの測定条件と多少違っても、手持ちのトランジスタのうちhFEの高いのがどれで低いのがどれかわかるだけでも便利である。例えば、アンプを作るときは、同じ品種のトランジスタでも高めのものを前段にといった使い分けができる。

 電圧・電流・抵抗測定の他に、hFE測定機能を持つデジタルテスターがある。hFE測定のファンクション設定レンジとトランジスタソケットが準備されている。トランジスタソケットはNPN用とPNP用があり、トランジスタにより使い分ける。

 hFEを測定するとき、まずファンクションスイッチをhFEに切り替える。次に、測定するトランジスタがNPNかPNPかによりソケットを選び、E・C・Bの各電極を表示のE・C・Bに合わせて差し込む。すると、ディスプレイにhFEが表示されるので、2〜3回、安全な表示をするまで待って読み取る。

サイリスタのテスト †

 サイリスタ(SCR)はスイッチのようにON/OFFの作用(スイッチング作用)を示す。トランジスタと同じように足が3本あって、それぞれアノード(A)、カソード(K)、ゲート(G)の名称が付けられている。ゲート(G)に一定以上の電流を流すと急にアノード(A)、カソード(K)間がON(スイッチが入った状態)となって電流が流れ続ける。いわゆる電子スイッチの働きをするわけだ。

 サイリスタは、ゲートに電圧が加わっていない状態ではOFF(スイッチが切れている状態)になっているので、テストリード棒の黒と赤をアノードとカソードに繋いでも電流は流れない。これはテスターが表示する抵抗値が無限大であることを意味する。

 次に、黒のテストリード棒をアノードに、赤をカソードに繋ぎ、この状態からさらに黒を少しずらしてゲートに瞬間振れる。そうすると、サイリスタのアノード・カソード間がON状態になり、テスターのメーターの針が大きく振れる。このように動作すれば、サイリスタは良品と判断できる。

CdSのテスト †

 テスターの切替レンジを1Mにして抵抗測定と同じ方法で行う。CdSは、受ける光の量によって、内部の抵抗値が変化する。テストリード棒(赤、黒どちらでもよい)をCdSの2本の足にあてて、CdSの表面を遮蔽板(下敷き、ノードなど何でもOK)で覆って光を遮断してみる。テスターのメーターが振れたり、元に戻ったりしてフラフラするはずだ。こうなれば良品と判断できる。

サーミスタのテスト †

 サーミスタは外部の温度の変化にしたがって内部の抵抗が変化する半導体である。テストリード棒(赤、黒どちらでもよい)をサーミスタの端子にあてて、そしてサーミスタに熱を加えてやる。温度の上昇と共に、テスターのメーターの針がだんだん大きく振れてくる。こうなればサーミスタは良品と判断できる。

テスターの選び方 †

 テスターにはアナログタイプとデジタルタイプがある。デジタルは便利だが、よりよくテスターを理解するにはアナログを使ってみてから、デジタルも持つというのがベストだと思われる(両方持っていて損はない)。

私が所有しているテスター紹介 †

  • アナログテスター
    • M1015Bポケットマルチメーター
      • MaDさんから頂きました。
  • デジタルテスター
    • SK-6511デジタルマルチメーター

テスターのトラブル †

指針が逆に振れる †

 測定端子のプラスマイナスが逆である。測定端子のプラスマイナスを逆にして再測定をして欲しい。

指針がふらつく †

 測定端子が測定する物にうまく触れていない可能性がある。

抵抗値の測定ができない †

 テスターに内蔵されている電池が切れている可能性がある。テスター内の電池を交換してから試してみて欲しい。



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